マレーシア・ペナン島日記

マレーシアのペナン島での生活を通して見たこと、感じたことを発信します

テセレーション

セカンダリーの生徒(タイ)対象のワークショップ

ザンビアからマレーシアに戻ったのが3月4日未明で、その日から出勤した。 というのは、すぐにタイからのセカンダリーの生徒のワークショップがあったからだ。 「テセレーション」(この記事後半で説明)について2時間のワークショップを行ったが、予想通りには進まなかった。 トピックが難しかったのか、あるいは英語のコミュニケーションが上手くいかなかったのかもしれない。 それでも最後の会で、生徒代表がワークショップの感謝の言葉を述べた時に、テセレーションにも言及してくれた。 優しい生徒たちだったと思う。

岡山大学の先生を招いてのワークショップ

その翌週は岡山大学の先生を招いてのワークショップだった。 テーマはSTEAM。 この言葉はScience, Technology, Engineering, Art, Mathematicsの頭文字を組み合わせたもので、それらの分野を総称した教育の考え方だ。 私も1コマ2時間のワークショップを担当することになったので、再びテセレーションを扱うことにした。 前回の反省をもとに、スライドも詳しくした。 対象がカレッジの先生だったので、その点、参加者の理解力は高い。 しかし、必ずしも数学専門ばかりではない。むしろ理科の先生の方が多かった。 そのような先生は、おそらく「閉曲線」を良く知らない。 それを簡単な説明で済ませたのが、まずかった。 そこでつまずいてアクティビティーが上手く進まなかった参加者が少なからず出てしまった。

テセレーションに再挑戦

翌週は、再びタイからのセカンダリーの生徒のワークショップがあった。 もう一度テセレーションをとりあげ、前回までの反省点を改善してみた。 今回はまあまあ満足できる結果で、参加者が美しいテセレーションを完成できた。

テセレーションのワークショップ

テセレーションとは

さて、テセレーションとは何だろうか。 別名タイリングともいうが、同じ図形を平面上に敷き詰めたものをいう。 正多角形でタイリングする場合は正三角形、正方形、正六角形のいずれかを用いるしかない。

正多角形のタイリングは3種類

正多角形でない多角形ならば、いろいろな図形がタイルになりうる。 長方形、ひし形、平行四辺形、任意の三角形はテセレーションのタイルになる。

平行四辺形と任意の三角形によるテセレーション

平行六角形、任意の四角形、平行六角形を二等分する五角形もタイルになる。

平行六角形、任意の四角形、平行六角形を二等分する五角形

長方形のテセレーションをもとに、新たな図形でテセレーションう作ることができる。

長方形から新たなタイルを作る

左の図のように、長方形の右から青い図形を切り取り、左にくっつける。 すると右の図のような図形ができる。 左側の凸部分は右側の凹部分とぴったりくっつくから、横に並べれば一行のテセレーションができる。 それを上下にさらにつなげて平面を埋め尽くすことができる。

新たな図形のテセレーション

この他にもいろいろな方法でテセレーションを作ることができる。 次のテセレーションは正四面体から作ったものだ。

鳥のテセレーション

日本テセレーションデザイン協会のホームページに優れた作品が公開されているので、興味を持たれた方はご覧になってください。

ザンビア出張

配属先が昨年9月に実施した第三国研修(アフリカのいくつかの国から研修生が参加)のフォローアップとして、ザンビアで研修会が行われた。 私も派遣メンバーとして参加したので、研修の様子やザンビアという国について書いてみたい。

ザンビア

ザンビアはアフリカ大陸のやや南に位置し、標高が1000mを越える高原で、比較的過ごしやすい気候だ。

ザンビア

図の赤い線が赤道で、ザンビアは南半球になる。

ペナンからザンビアの首都ルサカまでは、クアラルンプール、ドーハを経由して、飛行機に乗っている時間だけでも15時間、トランジットの時間も含めると丸一日かかる。 さらに、研修会の行われたセレンジェという町までは約400km、車で約7時間かかる。 移動だけで2日間という辛い日程だった。 写真は帰りに飛行機から撮ったドーハの夜景。美しい。

ドーハの夜景

3日間の研修会の後、首都ルサカに戻り、教育省の方やJICAザンビア事務所の方と会うことができた。 マレーシアの配属先とザンビアの連携を今後に生かす上で、貴重な取り組みだったと思う。 写真は教育省(の部局であるTESSやCDC)の建物。

教育省の建物

空の青さが美しいが、これはザンビアの特徴だと思う。 次の写真は車の移動中に撮った写真だが、空が水色になっている。 日本と違って、空の上の方は青、地表近くは水色になる。 これが雨季の夕方だと、紫などの色も現れるという。

一直線に伸びる道路

このように果てしなくまっすぐ伸びる道路というのも、日本ではなかなかお目にかかれない。

研修会

研修会は、マルコルム・モファットというカレッジで行われた。

マルコルム・モファット・カレッジ

研修会には4名が講師として派遣され、うち2名が理科、2名が数学だった。 参加者、講師ともに理科と数学に分かれ、それぞれ研修を行った。 私は3日間の研修の最終日に2コマ4時間半を割り当てられた。 タイトルは「問題解決による数学の指導」「問題解決の戦略と手法」というお堅いものだが、内容は実践的な5つの例をとりあげて、その授業をどう展開するかのディスカッションだった。 ザンビアの先生方が積極的だったので、ディスカッションは大いに盛り上がって、成功したと思う。

数学の研修会

日本の数学教育と比べると、ザンビアのそれは、より実践的(ザンビアの先生方はpracticalと言っていた)だった。 教え方に、論理的、実践的というものがあるとすれば、前者が日本、後者がザンビアということだが、この二つには優劣があるわけではない。 日本でも生徒の実態に合わせて、論理的に話を進める場合と、感覚的な理解を重視する(これをここでは実践的といっている)場合がある。 要するに、その場に応じた使い分けが大事なのだ。 このことはディスカッションであらためて気づかされたことで、収穫だったと思う。

セレンジェのセカンダリースクール見学

日本と違って、世界の多くの国では、中学と高校が一緒になっている。 この学校をセカンダリースクールという。 研修の翌日にセレンジェの町にあるセカンダリースクールを訪問した。 校舎が平屋で、ソロモンのセカンダリーに似ていると思った。 (私は2018~2020の2年間ソロモンでボランティア活動をした)。

セカンダリーの校舎

教室は似ていたが、生徒の服装が全然違う。 ソロモンは暑いので、制服はあっても、ネクタイやセーター、上着は着ていなかった。 ザンビアではネクタイ、ジャケットが多い。

セカンダリーの生徒たち

黒板には、びっしりと数学の説明や式が書かれていた。

黒板

後で聞いたことだが、ザンビアもソロモン同様、教科書の数が足りず、生徒に配布できないそうだ。 そのため、教科書を黒板に写し、それを生徒が自分のノートに写す、という方法がとられているらしい。 日本では児童生徒が教科書を自分の所有物にできるが、それがどんなにありがたいことかがわかると思う。

ザンビアの街並み

最後はザンビアの街並みや、面白いと思ったことを書きたい。

まず、スマホSIMカードが安い。 ザンビアの通貨はクワチャという。 SIMは1枚10クワチャである。 今日のレートだと、1クワチャが約6円。 ということはSIMカードは60円だ。 そして、2GB7日間のプリペイドの通信費が40クワチャ(240円)。 ちょっと変に思ったのは後で2GB7日間を買い足したとき、20クワチャ(120円)だった。 どちらも通信できたが、片方が半額なのはなぜ??? データ通信を購入できるお店は、電話ボックスのような格好をしている。

Airtelショップ

店に書いてある「Airtel」は通信会社の名前だ。

ザンビアの主食はシマという、とうもろこし(コーンでなくメイズ)の粉をお湯で固めたもの。 写真はカレッジで用意してくれた昼食だが、左側の白いのがシマである。 これは腹持ちが良くて、お腹がいっぱいになる。

カレッジで用意してくれた昼食

ザンビアの人はこれを右手で食べる。

ザンビアでは「ザンビーフ」と名付けられた牛肉がある。 これは、「神戸牛」や「松坂牛」のようなブランド名だと思う。

ザンビーフ

ルサカで最終日にザンビーフを食べることができた。 マッシュルームソースのステーキだ。 柔らかくて美味しい。 和牛と比べると若干劣るが、それでも十分美味しい肉だった。

ルサカからセレンジェまでの途中にところどころマーケットがある。 トマトやイモなどを売っている。 写真は車上から撮ったものだ。

道路わきのマーケット

こういう人の集まるところは本当にところどころであって、そのあいだは単に道と草原があるだけだ。 ところで、警察が車の検問をする決まった場所がある。 そういうところでは(車が徐行するので)かならずマーケットがある。 そして、物売りもたくさんいる。 男性もいるが、女性が売っていることが多い。

ブドウを売る女性

ブドウをプラスチックのケースに入れ、売り歩く女性がいた。 頭の上にいくつものケースを入れ、両手にも持って買い手を求めている。 ザンビアでは頭の上に荷物をのせる人を良く見かけた。 バランスを取るのが上手で、手で支えなくても落ちることがない。 頭に布を置いて安定させる人もいる。

ルサカのマーケットを歩いていて面白いと思ったのは、ウィッグのお店だ。

ウィッグ

マネキンの頭を使ってウィッグを整え、作るらしい。 ザンビアでは、ウィッグとエクステが流行っていた。

Pai Thee Kong Celebration

Pai Thee Kong Celebration

Pai Thee Kong Celebrationは、旧正月9日目に開かれるお祝いで、福建省出身者の祭りだ。 前日8日の夜からお祝いが始まる。いわば前夜祭だ。 今回は、その前夜祭を見にいくことにした。

Pai Thee Kong

Pai Thee Kongは中国語で「拜天公」と書き、それを英語に直訳すると「pray sky god」になるという。 天の神を拝むということなので、中国語の「拜」は日本語の「拝」なのかもしれない。 「天公」は玉皇大帝のことで、「道教における事実上の最高神で、天界または宇宙の支配者であり、その下の地上・地底に住むあらゆるものの支配者」(Wikipedia)だ。 つまり、玉皇大帝をたたえる祭りがPai Thee Kong Celebrationである。

Hokkien

Hokkien(ホッキアン)とは中国語の方言で、日本では泉漳語(せんしょうご)と言っている。 福建省南部が発祥で、Hokkienは福建語ということらしい。 また、ペナンでHokkienというと福建語を話す人、または今は英語を話していても、先祖が福建語を話していた人のことをいう。

Pai Thee Kong Celebrationはホッキアンの祭りである。 その由来については諸説あるらしい。 ひとつの説は、この日が古代中国で福建人の先祖を無慈悲な軍隊から守った玉皇大帝の誕生日だと信じられているからだという。 だから、旧正月の初日よりも9日目の方がホッキアンにとっては重要な日なのだ。 ペナンの中国系住民で最大のグループがホッキアンだから、この祭りは盛大に行われている。

チュージェッティー

前夜祭にあたる旧正月8日目、今年は2月17日はチュージェッティー近辺に人が集まり、花火の打ち上げや爆竹が華々しく行われる。 チュージェッティーは漢字では「姓周橋」と書く。 チューは中国人の苗字で、ジェッティーは桟橋だから、「チューさんの桟橋」ということになる。 だが、実際は単なる桟橋ではない。 桟橋に家屋やお店、お寺まであり、一種の集落を形成しているのだ。 その集落は、チュー姓のコミュニティーなので、クラン(clan, 一族)ジェッティーと言われている。 チュージェッティー以外にタンジェッティー、リムジェッティーなどがある。

さて、チュージェッティーでは、午後8時から12時までお祭りが行われた。 そのときの写真をいくつか紹介しよう。

チュージェッティー入り口

チュージェッティーの入り口がきれいに飾られ、イルミネーションも美しい。

チュージェッティーの寺院

チュージェッティーの寺院がライトアップされている。 この手前に赤いテーブルクロスをかけた長机が並び、お供え物がたくさん。

お供え、丸焼き

お供えがたくさん

8時を過ぎると花火がたくさん打ち上げられ、爆竹も鳴らされる。 これが、人びとのすぐそばで打ち上げられる(道路上で)ので、危ないと思った。 チュージェッティーのすぐ隣には道教の寺院があり、孫悟空がライトアップ。

孫悟空

また、その近くにはステージがあって、歌と踊りで大混雑だった。

私の自宅アパートには門限があり、イベント日はGrabも捕まえにくいので、少々早かったが9時前に会場を後にした。

翌日が本番

翌、旧正月9日目が本番で、ジョージタウンではニョニャの衣装を着た人などがパレードをして賑やかなのだそうだ。 残念ながら、その日は自分がアフリカのザンビアでワークショップを行う直前の休日ということで、その支度がいそがしく、ジョージタウンには行かなかった。 友人の王さんがとても残念がって、ビデオを送ってくれたので、何となく様子はわかった。 また、世界各地で旧正月のお祝いがあるそうで、イギリス、フランス、ドイツなどの様子を撮ったビデオも王さんが送ってくれた。

来年は本番の旧正月9日目も見に行きたいと思う。

最後に予告、次回はザンビアの話になるはず。今ぺナン空港で、これからザンビアルサカに向かう長いフライト。疲れそー。

コンシー

前回の記事に友人の王(Ong)さんのお宅に招かれたことを書いた。 そのとき、王さんに「あなたのコンシー(公司、Kongsi)はあるのですか」と聞いたら、「ありますよ」という答えだった。 そこで、その日のうちに訪ねてみることにした。 旧正月3日目の振り替え休日(2月12日)のことである。

コンシーとは

王さんのコンシーは王公司(Ong Kongsi)という。 そこの管理人の方に、王さんの友人であることを告げると、中に入る許可をいただけた。 それだけでなく、その娘さんが日本語が話せるというので、ぜひ話してくれと言われた。

娘さんにコンシーのことを聞くと、コンシーは同じ苗字、そこの場合は王という名字の中国出身者の助け合いの組織だという。 日本でいうと互助会にあたるかもしれない。 新たに王姓の人がペナンに来て、コンシーを頼ってきたら、コンシーはその人に援助をするのだそうだ。 例えば、商売のための資金を貸してあげたり、住居など諸々の世話をしてあげる。 その人の生活が安定してきたら、今度はその人がコンシーに貢献し、また次の人の面倒を見る側になる。 中国語で公司は会社のことだそうだが、この場合は同姓の互助組織だと思う。 私の友人の王さんは「clan(氏族、一族)」という言葉で表現していた。

コンシーを立ち上げた人、維持してきた人が亡くなると、コンシーに祭られる。 コンシーは寺院のような役割も持っている。

コンシーは基本的にそのメンバーのものだから、一般公開していないところが多いらしい。 入場料をとって一般公開しているコンシーで有名なのはクーコンシー(邸公司、Khoo Kongsi)である。

Khoo Kongsi

装飾は見事で、しかも細部にまでこだわりがある。 屋根飾りが同じように見えるが、よく見ると細かいところで違いがあったりする。 これだけのものを作るのは相当時間がかかったに違いない。 ちなみに、ここは有料で、たしか15リンギだったと記憶している。

公司

ふたたび王公司について。 建物の正面はこのようになっている。

Ong Kongsi

公司とはデザインが異なるが、こちらも見事な造りだ。 門には扁額が掛けられている。

公司の門

公司の中は基本的にメンバー以外入れないということだったが、それは比較的緩いしばりのようで、私が中に入っていた時に白人の観光客も見にきていた。 公司内部にはいくつか部屋があり、歴代の公司に貢献した人物の写真が飾られていた。 3人の兄弟が創立者で、その写真もあったが、面白いことに、その服が三者三様だった。 一人はスーツにネクタイ、別の一人は中国の帽子と服に扇子を持っていた。 三人目は写真ではなくて絵だったかもしれない。この人は中国の服だが帽子はかぶっていない。 このように、異なる服で写真におさまっているのは、西洋と中国の文化が混じりあった当時の社会の反映なのかもしれないと思った。

プラナカン・マンション

2月12日(月)は旧正月祝日の振り替え休日である。 ペナンに住む友人のオングさんのお宅にまねかれた。 お昼を食べた後、ジョージタウンを散策したいというと、プラナカン・マンションを見てはどうかと言われ、そこまで車で送ってくれた。

プラナカン

プラナカンは中国出身でマレーシアなどに住みつき、その土地に同化していった人々のことだ。 それらの人々はマラッカで商売をしていたが、のちにペナンやシンガポールにも移っていった。 ペナン、マラッカ、シンガポールはイギリスの「海峡植民地」だから、イギリス、中国、マレーシアの商業的取引においてプラナカンが活躍したのではないだろうか。 一般に彼らは、商売で成功した富裕層である。 マレーシアのプラナカンはマレー語をネイティブ同様に話し、男性はババ、女性はニョニャと呼ばれた。

ペナン・プラナカン・マンション

ペナン・プラナカン・マンションは、もと鄭景貴という中国出身の実力者の邸宅兼事務所であったという。 現在では博物館として一般公開されている。 グリーンの特徴的な建物の中は、華やかな装飾と家具、服、調度品が見事だ。

プラナカン・マンションの外観

建物は特徴的な薄いグリーンだ。 写真中央に入り口がある。 入ると受付があり、25リンギット払うと、その証明となるシールを服に貼ってくれる。

入場シール

Pinangというのはマレー語でペナンのこと。 Peranakanもマレー語でプラナカンと発音する。 eの音をエではなくウような曖昧母音で発音するのがマレー語の特徴だ。

入ってすぐ右手に大きなダイニング・テーブルがある。

ダイニングテーブル

ここは撮影スポットのひとつで、とくに女性に人気だ。 確認はしていないが、ここではプラナカンの女性(ニョニャという)の髪型に結って服を貸し出してくれるサービスがあるのではないかと思う。 私はプラナカンスタイルの女性を何人も見た。 その人たちの目的はこのような美しい調度品をバックに写真を撮ることである。

別の部屋に見事な調度品がある。

見事な調度品

これらの家具を見ると、プラナカンの文化は中国だけでなく西洋、とくにイギリスの影響を受けていることがわかる。

次の写真はキッチンだ。

キッチン

中央にかまどがある。 それにしてもキッチンまでこれほど飾られているとは。 これではせっかくの調度品が煤で汚れてしまうのではないかと思うが・・・

別の部屋には、ニョニャが纏った衣装が飾られている。

ニョニャの衣装

細かく美しい模様がある豪華な衣装である。 また、履物のディスプレイもあった。

ニョニャの履物

ちょっと疑問に思ったのが、右にあるミュールの柄はコミック調(ちょっとディズニー似、ミッキーマウスではないが)なので、古い時代のものなのだろうか、ということだ。 この建物が博物館として改装されたのが1990年以降なので、あるいは比較的新しいものも入れたのかもしれない(あくまで個人の想像)。

グランド・ピアノ

これは時代を感じさせるグランド・ピアノである。 当時は相当高価なものだったのではないだろうか。

中庭

ここは小さな中庭になっている部分で吹き抜けになっている。 美しい絵があり、これも撮影スポットのひとつになっている。

肖像画

これは、鄭景貴の妻の肖像画だそうだ。 彼には3人の妻がいたそうで、これはそのうちのひとりである(ネットからの情報)。 この絵を見ると、ニョニャは中国風デザインの服を着ていたのだと思う。

余談だが、マレーシアのイスラム教徒の男性は最大4人まで妻を娶ることができるそうだ。 ただし、そのためにはそうとうな財産がないと妻を満足させることはできないだろうと思う。

ベッド

最後は寝室の写真。 飾られた衣装も見事だ。

プチ情報

プラナカンはもともとマレーシアのマラッカから始まったので、マラッカにもプラナカンの博物館があるそうだ。 ただ、そちらは撮影禁止らしく、写真を撮りたい人はペナンのプラナカン・マンションに来てください。

旧正月にメディテーション

旧正月初日の2月10日午前7時。 職場の同僚の車でアパートメントを出発。 彼が誘ってくれたメディテーションに行くのだ。 メディテーション(meditation)は瞑想(めいそう)と訳されるが、日本でいえば座禅にあたる。

Penang Bodhi Heart Sanctuary

行先は、Penang Bodhi Heart Sanctuary。 日本語に訳すとペナン菩提心寺院とでもなるのだろうか。 sanctuaryは辞書を引くと「聖域(寺院、神殿、教会など)、至聖所、駆け込み寺、避難所、鳥獣保護施設、(心の)安らぎの場所」となっている。 寺院というとtempleが思い浮かぶ。 その違いを調べるのに、

What is the difference between sanctuary and temple?

とネット検索すると、英語の解説がかなり出てくる。 英語圏の人でも区別がしっかりつかないことがあるのかもしれない。 自分なりに解釈してみると、

  • sanctuary 人々を救済するための聖なる場所
  • temple その宗教における礼拝のための場所

ではないだろうか。 Penang Bodhi Heart Sanctuaryには、孤児院(親のいないこどもの保護施設)もあり、sanctuaryが救済の場であることが良く分かる。

旧正月のPenang Bodhi Heart Sanctuaryは瞑想の場

旧正月初日はたくさんの仏教徒、僧侶が集まってメディテーションを執り行っていた。 また、その間には無料で食べ物も振舞われていたし、参加者に聞くと、安価な宿泊所も備えられているそうだ。

サンクチュアリーの食事

この食事はミャンマー料理だそうだ。 参加しているお坊さんもミャンマーの方々だったので、おそらく旧正月メディテーションミャンマー人中心に行われたのだと思う。

メディテーションを50人くらいで行える集会所から、数人でやれる休憩所のようなところもある。 また、特別な個人的に行える小さな建物もあった。

瞑想のための小屋

この建物はお坊さんの修行のためのものらしい。 静かな森の中でひとりで瞑想する、まさに理想的な環境だ。 この建物の近くに白い仏像があった。

白い仏像

日本のでは石の像というとお地蔵さんのイメージがある。 それらは灰色の石で、白い石はほとんどないと思う。 この仏像には屋根があり、風雨を避けられるようになっていた。

このサンクチュアリーには小さな寺院もある。 そこにも白い仏像がある。 まわりの装飾はより豊かだ。

小さな寺院の仏像

仏像のわきにトラのぬいぐるみがある。 実はトラのぬいぐるみはサンクチュアリーのいたるところに置いてある。

トラのぬいぐるみ

その理由は宗教とは全く関係ないものだった。 この山にはたくさん猿がいる。 猿除けのためのトラなのだそうだ。 日本の田んぼにある案山子と同じ発想だ。 猿のDNAにはトラを危険だと認識する因子が埋め込まれていると地元の人が言う。 面白いな、と思った。

瞑想

さて、さっそく瞑想について女性の指導者から説明を受けた。 日本の座禅の修行では、心の乱れに対して肩を警策(木の棒)で叩くが、こちらのメディテーションにそれはない。 ただ、胡坐をかいて瞑想をすればよいのだ。 まずは1時間の瞑想を行う。

メディテーション

指導者の先生は目を閉じて瞑想をしながら、「hearing only, touching only」などと声に出して指導してくださる。 自分は背中や足が痛くなってきてしまい、全然集中できない。 心の乱れは、目を閉じている先生にもはっきりわかるようで、「ten minutes more. be patient(あと十分です、辛抱しましょう)」などと声掛けしてくれる。 ようやく1時間が過ぎてほっとした。 本来は瞑想のときにリラックスすべきが、終わった時の方がリラックスできた。 休憩をはさみ、2度目のメディテーションを1時間。 それでほぼ午前中が終わり、お昼をごちそうになった。

最後に冊子をいただいた。 ミャンマー語ビルマ語)と英語で書かれた手引書である。

手引書

全く瞑想にはならなかったが、それでも貴重な経験だったと思う。 自分はまだまだ悟りを開くには程遠いことがわかった。 今後は毎日十分ぐらいの短い時間でもよいからメディテーションしてみようと思う。

旧正月初日としては、なかなか意義ある一日だったと、ポジティブに考えよう。

旧正月の極楽寺

旧正月

マレーシアでは旧正月春節)をChinese New Yearと呼んでおり、祝日である。 今年2024年については、祝日が2月10日、11日の2日間で、11日が日曜日のため、12日が振替休日になっている。 その名の通り、中国系マレーシア人の祝日という色合いが濃く、何日も前から商店街や寺院を中心に飾り付けが行われている。 この写真はジョージタウンの私立病院のロビーに置かれた正月飾りである。 写真を撮ったのが1月20日旧正月の3週間前だ。 いかに、旧正月の祝いに気合が入っているかがわかる。

正月飾り

このような準備をしているのは、主に中国系マレーシア人だが、他の国にルーツを持つ人でも、仏教徒は同様に旧正月は大事な日だ。 次回の記事に書く予定だが、ミャンマー仏教徒もこの旧正月に座禅会を開いている。

さて、この祝日がいかに中国系の人にとって大事に思われているかを示すひとつの事柄は、閉店である。 一日目の10日は中国系のお店はほとんど閉まっている。 中には前日の9日から閉まっている店もある。 そういえば、昔の日本もそうだった。 正月三が日はお店がどこも閉まっていた。 大みそかまでに食材を買っておかないと大変なことになるのだった。 いつのころからか、スーパーが正月も営業するようになり、今では正月も普段と変わらない日本である。 ペナンではスーパーは営業しているから、昔ほど心配ではない。 ただ、いつもお世話になっている中華系ホーカーセンターは軒並みクローズドである。

極楽寺

極楽寺はペナンにある仏教寺院で、アジア最大の寺院と言われている。 そして、その中には中国、タイ、ミャンマーの仏像があり、国を越えて仏教の聖地になっている。 極楽寺と漢字で書くが、アルファベットではKek Lok Siと書き、「ケッロッシ」と発音する。 この寺院は旧正月のために何か月も前からイルミネーションの準備をする。 以下の写真は旧正月1日目の夜に撮影したものだが、その規模の大きさがお分かりいただけるだろうか。

極楽寺イルミネーション

提灯飾り

龍の飾り

巨大な観音様のライトアップ

お参りの人が使うろうそく

もうひとつの観音様

一緒に見て回った同僚曰く、「これはペナンのディズニーランドだ!」 たしかに、ペナンにディズニーランドはないが、極楽寺がある。 旧正月は夜のイルミネーションを楽しむために極楽寺に行くべし!

見学が終わり、9時半ごろに寺院を出てみると、沿道にたくさんの人がいる。 皆スマホを見ているので、これはGrabだなとわかった。 Grabはタクシーを呼ぶアプリである。 こんな場所ではGrabを呼べないと思い、しばらく歩いた。 夕飯も食べたかったが、はじめに書いた通り、ホーカーセンターはほぼ閉店状態である。 困っていると、マレー系の人のやっているバーガー屋さんがあった。 Abang Kie Burger 786という小さなお店である。 他に店もやってないから、ここで食べるか、ということになり、チキンバーガーを食べた。 美味しいし、量もあって、大満足。 そのとき、連れの一人が写真のステッカーに気が付いた。

ステッカー

なんと、ダチョウとシカの肉がある、と書いてある。 店主に尋ねるとダチョウとシカの肉のハンバーガーがあるという。 日本ではシカは食べたことがあるが、ダチョウはない。 我々三人が一致してダチョウバーガーを1個追加して3つに分けてもらうことにした。

ダチョウのハンバーガ

食べてみると、結構さっぱりした味だった。 一緒に食べた一人は、ニオイを気にしていたが、自分にとってはそうでもなかった。 店員が材料も見せてくれた。

ダチョウ肉のスライス

マレーシアのスランゴール州で作っているという。 最後に意外な展開になり、我々大喜びだった。

ただ、Grabはなかなか来なくて30分待ち。 旧正月極楽寺に行くときは、Grabがなかなか来ないことに気をつけよう。