マレーシア・ペナン島日記

マレーシアのペナン島での生活を通して見たこと、感じたことを発信します

コンシー

前回の記事に友人の王(Ong)さんのお宅に招かれたことを書いた。 そのとき、王さんに「あなたのコンシー(公司、Kongsi)はあるのですか」と聞いたら、「ありますよ」という答えだった。 そこで、その日のうちに訪ねてみることにした。 旧正月3日目の振り替え休日(2月12日)のことである。

コンシーとは

王さんのコンシーは王公司(Ong Kongsi)という。 そこの管理人の方に、王さんの友人であることを告げると、中に入る許可をいただけた。 それだけでなく、その娘さんが日本語が話せるというので、ぜひ話してくれと言われた。

娘さんにコンシーのことを聞くと、コンシーは同じ苗字、そこの場合は王という名字の中国出身者の助け合いの組織だという。 日本でいうと互助会にあたるかもしれない。 新たに王姓の人がペナンに来て、コンシーを頼ってきたら、コンシーはその人に援助をするのだそうだ。 例えば、商売のための資金を貸してあげたり、住居など諸々の世話をしてあげる。 その人の生活が安定してきたら、今度はその人がコンシーに貢献し、また次の人の面倒を見る側になる。 中国語で公司は会社のことだそうだが、この場合は同姓の互助組織だと思う。 私の友人の王さんは「clan(氏族、一族)」という言葉で表現していた。

コンシーを立ち上げた人、維持してきた人が亡くなると、コンシーに祭られる。 コンシーは寺院のような役割も持っている。

コンシーは基本的にそのメンバーのものだから、一般公開していないところが多いらしい。 入場料をとって一般公開しているコンシーで有名なのはクーコンシー(邸公司、Khoo Kongsi)である。

Khoo Kongsi

装飾は見事で、しかも細部にまでこだわりがある。 屋根飾りが同じように見えるが、よく見ると細かいところで違いがあったりする。 これだけのものを作るのは相当時間がかかったに違いない。 ちなみに、ここは有料で、たしか15リンギだったと記憶している。

公司

ふたたび王公司について。 建物の正面はこのようになっている。

Ong Kongsi

公司とはデザインが異なるが、こちらも見事な造りだ。 門には扁額が掛けられている。

公司の門

公司の中は基本的にメンバー以外入れないということだったが、それは比較的緩いしばりのようで、私が中に入っていた時に白人の観光客も見にきていた。 公司内部にはいくつか部屋があり、歴代の公司に貢献した人物の写真が飾られていた。 3人の兄弟が創立者で、その写真もあったが、面白いことに、その服が三者三様だった。 一人はスーツにネクタイ、別の一人は中国の帽子と服に扇子を持っていた。 三人目は写真ではなくて絵だったかもしれない。この人は中国の服だが帽子はかぶっていない。 このように、異なる服で写真におさまっているのは、西洋と中国の文化が混じりあった当時の社会の反映なのかもしれないと思った。