マレーシア・ペナン島日記

マレーシアのペナン島での生活を通して見たこと、感じたことを発信します

バティック

バティックとは

バティック(batik)は、マレーシアやインドネシアなどの染め物で特産品である。 日本では「ろうけつ染め」と呼ばれる技法だ。

バティックは正装にも用いられる。 例えば、在ペナン日本総領事館賀詞交換会ドレスコードは「スマート・カジュアル(ノーネクタイ、含むバティック)」となっていた。 スマートカジュアルはフォーマルとカジュアルの中間の、堅苦しくはないけれどきちんと見える、という服装である。 通常、絵柄のあるシャツは日本ではカジュアルだが、バティックはマレーシアでは正装に用いられるので、「含むバティック」となっているのである。

バティックのシャツ

Penang Batik Factory

ペナン島の北西部にバティックを作る会社Penang Batik Factoryがある。 作業場と店がセットになっていて、バティックを買い求めることもできる。 また、作業場の見学は無料でスタッフの解説もある。

道具

作業は模様の下書きから始まる。 下書きができたら、その線に沿って蝋を塗る。 蝋を塗るためのペンは特別のものを使う。 写真のコップの上にある先のとがったスプーンのようなものがそれだ。

蝋を塗るためのペン

模様を蝋で描く作業

模様を塗る作業は熟練が必要で、ここで作業をしている方によると、2年程度の経験が必要だという。

蝋で模様を描く作業

蝋で塗った部分は色が入らないので、うまく模様になるということだ。

手作業で模様を描くのは、最も高級なバティックである。 違う方法に、スタンプを使うものがある。

スタンプ

布の上に置かれているのがスタンプで、その模様は手作りだ。 一度スタンプができると、それで蝋を布地につけることができる。 ハンコを押すようなものだ。 これを使うと同じ模様をいくらでも作ることができる。

色を塗る作業

次の作業は色付けである。

色を塗る作業

色塗りの作業をしている方に聞いたところ、色塗りは蝋で模様を描くよりも易しいのだそうだ。 そして、色塗りは3か月程度でできるようになるという。

複雑な多色のバティックでは、ここまでの作業を何回か繰り返すそうだ。 版画の多色刷りのようなイメージだと思う。

色付けされた布地

こうして、色付けされた布地が作業場で乾かされていた。

ピンクに塗られた布地

ピンクを基調にして、花柄を描いたものだ。 マレーシアのバティックはこのようなデザインが多い。 お店のスタッフの説明では、デザインの違いがマレーシアとインドネシアのバティックの違いになる。 製法は全く同じだそうだ。

青いバティック

こちらは青を基調にピンクの花をあしらったもの。

ショップ

ショップ

この会社のショップでは、服だけでなく、布地や小物なども扱っている。 写真の上部にある額に入って飾られている絵もバティックの布地である。

このファクトリーのバティックは品質が良く、色落ちがしない。 市内で安く売られているバティックもあるが、質が低いものもあり、洗濯して色落ちしてしまうものもあるそうだ。

バティックは美しく、ファッション性もあり、お土産にも良いと思う。 その際は、このバティック・ファクトリーのお店がお勧めだ。